京都での3日目は早くから集合して車で京田辺に向かいました。
昨年、玉露の製作を勉強させていただいた「舞妓の茶」さんに伺って、覆い下茶と玉露について見学するのです。
ロンドンでの玉露ワークショップも舞妓の茶さんのお茶で行いました。
田宮さんが玉露を淹れて下さるのを見ていると、既にそれが空気を吸って吐くのと同じくらい自然なのがわかります。
それでいながら、全ての動きにむだがなく、細部まできちんと気を配られているのが分かるのです。
これは不思議なことに、初めて田宮さんに会うイギリスからの生徒さんたちにもわかるようで
「ミスター田宮がお茶を淹れるところは何か哲学的なものを感じる」
私は玉露を初めて飲むという方にお出しするのがとても好きです。
どんなに驚かれるかを考えると、淹れながらドキドキするくらい。
そしてその期待は裏切られたことがありません。
もう大昔のことですが、イギリスのテレビ局が有名人にお茶のおいしさに目覚めたさせるという番組に協力しました。
その時の有名人はボクシングのワールドチャンピオンの男性で、PGティップスが何より好きで毎日毎日8杯飲むという人。
彼に、お茶のスペシャリストがこれぞと思うお茶を飲ませて開眼させるのが趣旨だったのですが、結論から言うと最後まで
「PGがいい」と。
トワイニングのテイスティングルームに続いて、我が家での撮影にはティーパレスのオーナーのタラ、ウィタードのチーフブレンダーのジャイルズなど集まりましたが、彼が唯一気に入ったのが、Jing Teaのエドが持ってきた玉露でした。
「お茶とは思えない。ベジタブルスープのよう。でも美味しい」って。
とてもとても小さくて軽くて柔らかい葉。
覆いをかけられた葉は、太陽の光を求めて懸命にその面積を広げます。
そのために葉は薄くなり、より柔らかくなるのです。
質の良い玉露は7煎まで飲むことができます。
その後は、食べられますよ!
下のフリーズドライしたいちごに玉露チョコレートでコーティングしてあるのは、買って帰ったらロンドンで子供たちが瞬く間に食べてしまいました!
右上の、おかきの中に玉露チョコレートが入っているのが一番の衝撃!
みんなそのアイディアに仰天したものの、
食べてみてあまりの美味しさに全員が買いました!
熟練した方々に交じって若い摘み手さんもいらっしゃいます。
インドでもマレーシアでも台湾でも中国でも、茶摘みの方達にいくら丁寧に教わっても、全く同じようにはできません。
彼女たちの手にかかると、葉は魔法のように枝からするすると剥がれて行くのに、私だと枝ごと引っ張られてきてしまう......。
茶摘みの技術は決してそのスピードによる時間短縮だけではありません。
さっさと摘んであげれば、茶葉の傷みが少なくてすむのです。
工場では、昨年お会いした山下名人のお孫さんが、この日も茶葉につきっきりで玉露を作っていました。
大量の煎茶を作る工場と違い、ここでは機械はオートメーションによる管理はしていません。
全ては人間の感覚で管理されています。
あとどのくらいこの機械にかけておくか。
もう次の機械に移した方がいいのか。
こちらで茶そばでランチの予定でしたが、お買い物に時間がかかり過ぎてランチは断念。
このツアーに来た人たちは、既にお茶関連の仕事やライフワークをしていたり計画している人たちなので、お茶の価値を知っています。
と、握って下さった玉露お握り!
凄い、玉露入りのお握りって初めてです。
ほんのりと玉露の香り、ものすごく上品なお握り〜。
まるで遠足みたいで楽しいー。
参加者のことはまた別に書くつもりですが、日本から参加してくれた日本の生徒さんたちもいらっしゃるので、みんなでますます遠足気分💕。
こんなに盛りだくさんなのにまだ午後がある!
この後は和束町に移動です。