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Channel: スチュワード麻子オフィシャルブログ 「ティータイムのある暮らし」
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イギリスからの日本茶ツアー 京都編4 舞妓の茶で最高の玉露に出会う

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京都での3日目は早くから集合して車で京田辺に向かいました。
昨年、玉露の製作を勉強させていただいた「舞妓の茶」さんに伺って、覆い下茶と玉露について見学するのです。

オーナーの田宮さんは、ロンドンにも何度かいらしており、私は何年もお世話になっています。
ロンドンでの玉露ワークショップも舞妓の茶さんのお茶で行いました。
田宮さんが玉露を淹れて下さるのを見ていると、既にそれが空気を吸って吐くのと同じくらい自然なのがわかります。
それでいながら、全ての動きにむだがなく、細部まできちんと気を配られているのが分かるのです。
これは不思議なことに、初めて田宮さんに会うイギリスからの生徒さんたちにもわかるようで
「ミスター田宮がお茶を淹れるところは何か哲学的なものを感じる」
と感想をもらした人も。
囲炉裏を囲んでみんなでいただくお茶は、畏まらず、でもなんとなく居ずまいを正したくなる、とても気持ちの良い時間です。

うーん、と唸るしかないような玉露。
私は玉露を初めて飲むという方にお出しするのがとても好きです。
どんなに驚かれるかを考えると、淹れながらドキドキするくらい。
そしてその期待は裏切られたことがありません。
もう大昔のことですが、イギリスのテレビ局が有名人にお茶のおいしさに目覚めたさせるという番組に協力しました。
その時の有名人はボクシングのワールドチャンピオンの男性で、PGティップスが何より好きで毎日毎日8杯飲むという人。
彼に、お茶のスペシャリストがこれぞと思うお茶を飲ませて開眼させるのが趣旨だったのですが、結論から言うと最後まで
「PGがいい」と。
トワイニングのテイスティングルームに続いて、我が家での撮影にはティーパレスのオーナーのタラ、ウィタードのチーフブレンダーのジャイルズなど集まりましたが、彼が唯一気に入ったのが、Jing Teaのエドが持ってきた玉露でした。
「お茶とは思えない。ベジタブルスープのよう。でも美味しい」って。
因みに私が出したブレンドはその次に気に入ったと言ってもらえました(笑)。
まるで海藻のような、海苔のような香りがするのは、3週間以上覆いの下で生育するからです。
とてもとても小さくて軽くて柔らかい葉。
覆いをかけられた葉は、太陽の光を求めて懸命にその面積を広げます。
そのために葉は薄くなり、より柔らかくなるのです。
質の良い玉露は7煎まで飲むことができます。
その後は、食べられますよ!
柔らかくて苦味も渋みもほとんどなく、実に美味しいのです!
舞妓の茶さんでは、玉露を使った沢山のお菓子も作っていらっしゃいます。
下のフリーズドライしたいちごに玉露チョコレートでコーティングしてあるのは、買って帰ったらロンドンで子供たちが瞬く間に食べてしまいました!
右上の、おかきの中に玉露チョコレートが入っているのが一番の衝撃!
みんなそのアイディアに仰天したものの、
食べてみてあまりの美味しさに全員が買いました!
私も2袋買いましたが、棚になくなってしまい、お店の方は大わらわでした。
覆い下で、茶摘みをする方達に交じって、私たちも摘み方を教えてもらいました。
熟練した方々に交じって若い摘み手さんもいらっしゃいます。
青々とした葉は、触ると覆い下に育った葉の持つ独特の柔らかさを感じます。
茶摘みと言うのは難しいものです。
インドでもマレーシアでも台湾でも中国でも、茶摘みの方達にいくら丁寧に教わっても、全く同じようにはできません。
彼女たちの手にかかると、葉は魔法のように枝からするすると剥がれて行くのに、私だと枝ごと引っ張られてきてしまう......。
茶摘みの技術は決してそのスピードによる時間短縮だけではありません。

ノロノロ摘むと、上に積み重なる茶葉の重みで、下の葉は段々に傷んでしまい、そこから緩やかな酸化発酵が始まってしまいます。
さっさと摘んであげれば、茶葉の傷みが少なくてすむのです。

工場では、昨年お会いした山下名人のお孫さんが、この日も茶葉につきっきりで玉露を作っていました。
大量の煎茶を作る工場と違い、ここでは機械はオートメーションによる管理はしていません。
全ては人間の感覚で管理されています。

各段階で、機械から少しだけお茶を出し、手で触って感触を確かめます。
あとどのくらいこの機械にかけておくか。
もう次の機械に移した方がいいのか。
それらを全て手触りで測るのです。
触らせてもらいましたが、ややねっとりとした感じの粘りが感じられます。
そう言った感触だけで管理されているのです。

工場を後にして、舞妓の茶ブティックへ。
こちらで茶そばでランチの予定でしたが、お買い物に時間がかかり過ぎてランチは断念。
このツアーに来た人たちは、既にお茶関連の仕事やライフワークをしていたり計画している人たちなので、お茶の価値を知っています。
ですから、私たち日本人がお茶としてはやや高価だと思う玉露も、これだけのクオリティだと知ったら迷いなくバンバン買っていました(笑)。
「車の中で召し上がれ」
と、握って下さった玉露お握り!
凄い、玉露入りのお握りって初めてです。
ほんのりと玉露の香り、ものすごく上品なお握り〜。

私と雷くん大喜び〜、の図!
まるで遠足みたいで楽しいー。
参加者のことはまた別に書くつもりですが、日本から参加してくれた日本の生徒さんたちもいらっしゃるので、みんなでますます遠足気分💕。

こんなに盛りだくさんなのにまだ午後がある!
この後は和束町に移動です。

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