日本でも有名なイギリス人シェフ、ヘストン・ブルーメンタール。
彼のレストラン「ファットダック」がリニューアルしたそうで、私の好きな料理評論家の人が訪れたところ、テーブルで彼だけがパンをサーブされなかったそうです。
「あの、僕は、パンはもらえないの?」
と聞くと、
「イエス、サー、パンはお好きではないですよね?」
と。その通りで、この人は自分で記事にパンは食べない、と書いている人。
有名な評論家さんである彼のことを事前に徹底的にリサーチしたらしく、デザートにはなんと、子供の頃のおじいさんとの思い出であるイタリア語の文が書かれていて、涙が出そうになったと書かれていました。
有名な評論家だからでしょう....と思いがちですが、実は私もヘストンのロンドンのレストラン「ディナー・バイ・ヘストン」に行った際に、食後の飲み物のオーダーを取りに来たウェイターさんが
「もちろん、お茶をオーダーされることと思いますが、一応メニューをご覧になります?」
と言われて仰天しました。
後から一生懸命考えて、おそらく予約の際のメールアドレスから察して、検索したのかな、と。
一流のサービスって、こうやってひとりひとりに特別なことをしてもらえたと思わせることも含まれるのですね。
さて、話はすっかり変わり、ファットダックならぬファットクラブと言うレストランに行って来ました。
名前のとおり、ひたすら蟹!のお店。
テーブルに着くとまず、テーブルに何枚も重ねて大きな紙を敷いてくれます。
メニューには、色々な蟹が、重さやサイズで表示されていて、エビやオイスターもあります。
まさかとは思いましたが、
「これ、ビニール袋の中で調理するわけではないですよね?」
と聞くと、
「もちろん普通に調理しますよ、ビニール袋は単なるプレゼンテーションです!」
と笑われました。
これでミディアムサイズです。
カトラリーはもらえず、小さいメタルのトンカチと蟹用のクラッシャー、あと、ほら、なんて言うんでしょう、細長い、蟹肉をほじくり出すあれ。
とにかく手で食べて!
というスタイル。
まあ、蟹はどの国でもお上品にナイフとフォークでは食べられないですよね、ですからイギリスでは、初めからほぐしたドレスト・クラブが主流です。
その点、「ファットクラブ」のはすごくワイルドな気分で楽しめました!
ちなみにエビもビニール袋に入って来ました...。
「これって、絶対にファースト・デートで来られない店だよね」
と言うと、娘が
「隣のテーブルのカップルもそう言ってた」と。
全部食べ終わって立ち去った後の隣のテーブルでは、ウェイターさんがテーブルクロス代わりの紙を四方からまとめて大きな袋状にし、そのまま持ち上げてキッチンに消えて行きました。
そのままゴミ箱に捨てられるのね.......すごい。
ロンドンも本当に変わったな~、いろんなお店ができて。
しかも、ちゃんと次々お客さんが入ってきます。
開店後まだ10ヶ月だそうですが、今度蟹好きのお友達を探してまた行ってみたいと思います!