しかし、この素敵なお天気の土曜日にも、私は朝早くにここヴィクトリアへ・・・・。
ここ、大学の建物ですが、今日はU.K.ティーアカデミーのティーソムリエコースの講義があります。
私は午前の日本茶の担当、その後は元トワイニングのテイスターだったアンジェラにバントンタッチ。娘のありっさは丸一日お茶淹れ係として働いています。
今日、最初似テイスティングし、更に最後にテイスティングノートを書く勉強に使ったのが、ここ掛川の深蒸し茶。
プレミアムグレードのものを低温で淹れると、驚くほどの旨味を感じることができます。
これが横向茶業さんで見せていただいた、摘んだばかりのお茶。
まだ摘み始めて2日くらいですので、本当にきれいな新茶らしい色です。
長めの120秒程度蒸したものが深蒸し茶と呼ばれます。
普通煎茶(浅蒸し煎茶)と違って長めに蒸された茶葉は、このように柔らかくなり、組織がやや崩れるために、中の様々な栄養素、色素が、淹れた際の茶液の中に沢山滲出されるのです。
だから、深蒸し茶はこんなにとろりとした緑色になるのですね。
その後、いくつもの機械を通してお茶ができるわけですが、これはそのうちのひとつ、揉捻機と呼ばれる機械です。
大きな工場の場合、ほとんどの機械はオートメーション化されており、衛生上の理由もあって機械はカバーをかけられているのでなかなか中を見ていただくことができませんが・・・・。
ちなみに私はおさるのように機械によじ登って中を見たりしています(笑)。
お茶を蒸す時の香りって、それはそれは素敵なものです!
ダージリンの工場でも萎凋室で同じことを感じましたが、他には絶対に内香り。
なぜだか故郷に帰ってきたような気持ちになります!
私はもともとが工場好きなのだと思いますが、お茶工場は世界中どこに行っても本当に面白いです。
全く生産には携わっていない私が聞く素人の割には生意気な(?)突っ込んだ質問にも、皆さんとても丁寧に答えてくださるのが楽しい。
特に古くからのお茶特有の言葉がいくつもあって、例えば若い新芽がたくさんある時に「みるい」というのは全国共通だと思いますが、揉捻機についている出っ張りを「ヒル」と呼ぶのはどうやら静岡だけらしい。それも古い言葉らしくて、別の工場では
「なんでそんな古臭い言葉知ってるの??}
と驚かれたりしました。
でも、習う私としては、どれが古くてどれが方言なのかわかりませんから、そのまま覚えて行くわけですね・・・・・。
こんな貴重な機械をたくさんいただいたおかげで、今日のティーアカデミーの生徒たちは皆、正しい知識を身に着けて帰ったはずです。
私はこういう素晴らしいお茶を作ることはできませんが、正しく伝えることはできます。
それは紅茶も日本茶も同じ。
今日の生徒さんの中には、紅茶とくらべて、という質問をする人が多く、両方のことをそれぞれいくつもの現地で視察できたのは本当に役に立ったな・・・と思いました。
紅茶は世界で20茶園くらい視察しましたし、日本茶もたくさんの方のご協力でどんどん視察させていただけています。本当にありがたく、幸せです・・・・。
そういう好意をすべて、正しく伝えることでご恩返ししたいと思います!
「イギリス人が普通飲むお茶じゃないものを紹介して、目を開かせたいんだ」と、今日のアカデミーに参加したクリスが言っていました。
彼はこれからお茶の店を持とうという希望を持っていて、真剣に授業を受けています。
そう、お茶はすべてグローバル。
緑茶がイギリスに、紅茶が日本に、それぞれ定着する日はもうすぐそこに来ています。