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Channel: スチュワード麻子オフィシャルブログ 「ティータイムのある暮らし」
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ロンドンの秋 お茶の香りと子供の頃の記憶

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冬時間に入り、ロンドンは急に寒くなりました!

気持ちよく晴れていても、空気がとても冷たいのです。

 

今、我が家にはオーストラリアから若い弁護士のジョンが滞在しています。

すでに世界で5本の指に入る事務所にいるジョンですが、ロンドンの大学院に来ることにして、お部屋探しの間我が家にいるという状態。

親戚?

と聞かれますが、そうではなくて、まだ彼が大学生の頃に、イギリスにクリケットのために1年ほど滞在し、その時にうちに泊まりに来たりしたご縁です。

29歳ですが、息子みたいな感じ。

日本に来た時は、私がいなかったのですが、私の父とふたりで秋田の広い日本家屋に泊まりに来たりしていました。

 

昨夜、お茶の話になり、私は自分が飲んでいた蜜蘭香という烏龍茶を一杯ジョンに飲ませてあげました。

烏龍茶を飲んだことがないと言うので。

彼は香りを嗅いでじーっと考え、一口飲んでじーっと考え。

さらには飲み終わったカップの中に鼻の先を突っ込んで、またじーっと。

香りの良い烏龍茶は、飲み終わった後のカップの香りがものすごく良いのです。

 

それから彼は

「人間の五感の中で、嗅覚って一番古くからのものが長く残るって言うけど」

と切り出しました。

「この匂い、一生懸命考えたんだけど、やっぱり、僕のお母さんが作ったパンケーキの匂いだ」

 

蜜蘭香は、私にとっては大好きな桃のような、アプリコットのような香りです。

パンケーキ??

「子供の頃、母がよくパンケーキを焼いてくれたんです、そこにバターを付けて、はちみつを付けて。このお茶がその匂いだというわけではないんだけど、それをすごく鮮明に思い出しました」

 

確かに、名前に「蜜」がつくだけあって、はちみつのような香り、といえばそうも言えます。

まだじーっと考えている彼に、もう一杯飲む?と聞きましたが、彼は

「いえ、もう結構です」

というと、カップをそっとテーブルに置きました。

 

紅茶や烏龍茶、自然で暖かな香りを嗅いで、あなたは何を思い出しますか?

人の記憶の数と同じくらいに、お茶の香りは様々です。

ただ、思い出させてくれるのは必ずと言っていいほど、暖かくて優しい思い出だと思いますよ。


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