クリケットの殿堂、ローズ・クリケット・グラウンドで、毎年恒例のイートン校対ハロウ校の試合がありました。
このために、私はほんの10日間なのにロンドンに戻ったわけですよ!
ロングルームと呼ばれる部屋はつい近年まで女性禁制で、女王以外に入った女性はいなかったと言います。
ここの会員になるには40年以上のウェイティングリストだと聞いています。
世界のクリケット試合のうち、最も古くから続いているこのイートン対ハロウで、日本人(ハーフですけど)がキャプテンを務めるのは初めてのことだそうです。
当たり前って感じですけど。
お陰でイートン校は言いたい放題でしたが、自分たちだけでは盛り上がりに欠けるのではないかと思ってしまいました。
私は息子がバッティングしている間は呼吸困難になりそうなくらい緊張します.....
でも今年は去年よりスコアは低く、30点未満でアウトに......。
ちなみにブレックファースト、ランチ、アフタヌーンティーがサービスされ、合間にもシャンパンやワイン、コーヒー、紅茶は常にサービスされます。
ボックス席っていいなあ。
パヴィリオンは出入り口でセキュリティがチケットをチェックしますし、ジャケットとネクタイなしには入れてもらえません。
結果としては、途中で雨で試合中断、そのため1977年に数学者が考案したと言うダックワース・ルイスと言う、訳のわからない計算法が適用され、さっぱり解せないけど何故かイートン校の勝利に。
結果としては、途中で雨で試合中断、そのため1977年に数学者が考案したと言うダックワース・ルイスと言う、訳のわからない計算法が適用され、さっぱり解せないけど何故かイートン校の勝利に。
後味悪いことこの上なしの結果となってしまいました.....。
ただ、良かったな、と思ったこともありました。
義父は数年前までこのMCCというクラブのメンバーで、クリケットを見るだけではなく、国内に数カ所しかない「リアルテニス」と言う、テニスの原形のスポーツをプレーしていたのです。
で、休憩時間に義父と歩いていたら、そのお友達にばったり会いました。
「最近見ないとおもったら!今日は試合見に来たの?どっちの卒業生?」
と聞かれた義父は、心持ち胸をそらして
「いやいや、実は孫がハロウのキャプテンでね、応援に来た訳なんだよ」と。
「ほう、それは大したもんだ、あなたがお母さんだね?お手柄だね、当然クリケットはあなたの血筋だろうからね!」
と、いかにもイギリス人らしいジョークを言いながらも、義父の肩を叩いて、いやあぁ、大したもんだ、おめでとう、と言うお友達夫妻に、義父はやはり嬉しさを隠せない笑顔でした。
子供が頑張ってくれるのは、親としてはとても嬉しく、誇らしいことですが、クリケットと言う伝統あるスポーツをずっと代々大切にしているイギリス人家庭の義父にとっては、またそれ以上の意味を持つことだったのでしょう。
まだ唇の端に笑みを残したまま、また歩き出した義父の横で、おじいちゃん孝行できてよかったね、と心の中でつぶやきました。